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2017.8.26.Sat

どちらにいる

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2人の作家は、同じ多摩美術大学の大学院を修了した同級生である。
昨年は、修了個展を行った2人だが、今回は、コンセプトをたててルールを決めた展示となっていて、興味深い。
修了展でむくりこくりという恐ろしいものの象徴として、クジラを描いていた山嵜さんが今回は、風景や波、クジラと空を重層的に、しかもグラフィカルな手法で描いてきた。
様々な新素材を取り入れた実験的な作風もおもしろい。
折笠さんのペインティングは、リズム感や一触即発の危機感や生々しさを感じるライブ感覚が魅力となっている。
波打ち際に打ち上げられた人体の一部が空間に浮かび上がる効果も、背景の薄墨によっていきている。
先月、父が亡くなり、肉体が焼かれ、骨になり、父の魂はどこにいってしまったのかと不思議になった。
昔のアルバムに小さな赤ちゃんを抱く父の若い姿。
そして、私が生まれる前の父の写真を見ながら、私の知らない父がいるという不思議。
父の人生に思いを馳せるたびに、寄せては繰り返す波のように悲しみと慰めの感覚に襲われているが、
そういう私の今の心境に寄り添うような2人の絵。
私の今の素直な感情を引き出せる2人の絵。
アートを鑑賞する醍醐味は、自分の今の気持ちに寄り添って、悲しみや慰め、喜びや希望を感じる感覚を追体験させてくれることだと憶う。


 


   

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